離断性骨軟骨炎の治療は、初期であれば投球の中止・制限と保存療法で治療できますが、進行して軟骨が完全にはがれてしまうと自然修復は望めないため、骨軟骨片を除去したり、軟骨を修復したりする手術が必要になります。
もう一つの例としては、バスケットボールやサッカーなどで膝の靱帯を痛めた場合です。「前十字靱帯損傷」で、膝の不安定感や膝くずれが生じて日常生活に支障がある場合や、そのまま放置すると半月板や軟骨損傷を引き起こして慢性的な痛みや腫れが出現する可能性がある場合、手術が必要になります。
前十字靱帯断裂の手術においては、大人の場合と違って子どもではいかに骨端線を痛めないよう、前十字靱帯を再建できるかが重要なポイントとなります。骨に穴を開けて靱帯を通してとめるとき、成長にとって非常に大事な部分である骨端線を避けながらトンネルをつくるには、医師の技術が必要です。整形外科の中でも、膝関節の治療を専門にする医師はとくに治療経験が豊富でしょう。
以上、中高生のスポーツ障害の特徴と注意点についてお話ししてきました。発育期の子どもたちのスポーツ障害を予防するためには、発症初期のちょっとした痛みや違和感などのサインを無視しないことです。重症化して、後遺障害を残すようなことにならないよう、きちんと受診して早期発見・早期治療を心がけることが大切です。
治療中は局所の安静が必要になりますが、「スポーツができない」などと悲観しないでください。医師とよく相談しながら、許可された運動を積極的におこないながら、前向きにコンディション調整に励みましょう。