部活動を安全におこなうためには、このような子どもの運動器の成長の特徴を考慮しながら、運動の強度やトレーニングメニューを考えていただきたいと思います。成長軟骨が残っている中高生たちは、とくに反復動作や強い負荷がかかるトレーニングは避けて、スポーツ障害の発生を予防するべきでしょう。

 発育期の子どもにスポーツ障害が起こった場合、医師は基本的に安静・リハビリ、痛みや炎症を抑えるための薬物療法などの保存療法で治療します。手術と保存療法の両方の選択肢がある場合は、子どもの場合にはできるだけ手術を避けます。なぜなら、手術をすればどうしても周辺の組織まで傷つけてしまうため、成長障害を引き起こして将来に影響が及ぶ危険性があるからです。

 子どもは、好きな部活動をやめたくない一心で「競技を続けるためなら手術をする」と言うかもしれません。保護者の中にも「手術さえすれば元通りプレーできるようになる」と思って、手術を望む人が多くいます。しかし、最初から手術ができないケースもありますし、手術ができても満足のいくパフォーマンスレベルにまで必ずしも回復できるとは限らないケースもあります。そして何より、子どもの場合は手術にともなう成長障害が大きな問題となることをしっかりと理解しなければなりません。

 医師が子どもに手術するのは、次の二つの場合に限られます。一つは、「そのままでは変形が残る場合」。もう一つは「成長障害が起こりうる場合」です。いずれも、放っておくと日常生活にまで支障が出る可能性があるため、手術を選択します。手術は、壊れたものをできるだけ元の状態に治すための治療ですので、保険診療で受けられます。

 代表的なものの一つに、「野球肘」があげられるでしょう。投球動作の繰り返しで起こる「離断性骨軟骨炎」には注意すべきです。これは肘の軟骨が関節内ではがれ落ちてしまうもので、後遺障害をきたしやすい疾患です。初期には無症状であることもありますが、肘の外側の痛みや、進行すると可動域制限が強くなり、やがて関節全体の変形が生じて日常生活にも支障をきたすようになります。

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離断性骨軟骨炎は進行すると手術が必要に