「前回の衆院選で自民当選者と野党の次点の差が1万7千票以下の選挙区は全国で40ほどありました。公明・学会票の集票力の低下は、僅差で勝ち上がった自民党候補にとって脅威になるわけです」
こうした状況で、菅氏は本当に解散を打てるのか。角谷氏はこう語る。
「今後、コロナ禍での企業倒産が増え景気はさらに悪化するでしょう。解散時期を間違えば、菅政権の命取りになりかねない。安倍政権時代の不祥事に菅首相が知らぬ存ぜぬを続ければ国会で立ち往生しますし、そこに閣僚の不祥事が噴出すれば『ご祝儀』ムードは終了。菅首相は新内閣で早く仕事をしたいと思っており、本心は解散したくない。早期解散を望む党内との攻防が生まれているのです」
もし解散して自民の議席が20~50も減るようなことがあれば、途端に党内政局が始まる。
「来年秋の総裁選に向け『菅おろし』が始まるでしょう。長期政権のもくろみは消え、行革相として注目度が高まった河野太郎氏をはじめ、総裁選で戦った岸田文雄氏、石破茂氏など、各派閥がポスト菅に誰をかつぐかで、党内は大混乱に陥る」(角谷氏)
>>【後編:菅自民は「おしまいDEATH」? 大阪では維新と「仁義なき戦い」】へ続く
(本誌・亀井洋志、上田耕司)
※週刊朝日 2020年10月9日号より抜粋