菅義偉首相がいつ解散し、総選挙に打って出るかが焦点になっている。自民党幹部がこう話す。
「当初、噂された10月下旬の臨時国会冒頭での解散は流れたようだ。11月にG20サミットがあり、終わるまで解散はできない。また、東京五輪開催の可否の判断は年内と言われており、もし中止となれば、年明けの国会冒頭での解散では自民に逆風になる」
こうした理由で、12月6日投開票が最有力だという。報道各社の世論調査で菅内閣の支持率が60~70%台となり、自民党内では早期解散論が強まる。新政権発足時の「ご祝儀相場」で圧勝する思惑があるのだろう。
だが、本当にそうなるのか。本誌は政治ジャーナリストの野上忠興氏と角谷浩一氏に各政党の獲得議席数と、激戦が予想される58小選挙区の結果を予測してもらった。その結果、自民党は解散時より「24議席減」(野上氏)、「11議席減」(角谷氏)。自民単独過半数は維持するが、圧勝とは程遠い。野上氏が指摘する。
「この数字は、ご祝儀票が入る今の情勢を反映したもの。12月解散や1月冒頭解散なら50議席減もあり得る。菅首相のこれまでのような答弁では、臨時国会でどんどんメッキが剥がれます。一方の野党は小沢一郎氏が接着剤となり、立憲と共産の共闘が予想以上に進んでいる。共産は立憲と組めば勝てる選挙区を徹底的に分析し、自前の候補者擁立を見送る構え。ご祝儀票を当て込んで解散すると百戦錬磨の小沢氏の“罠”に嵌(はま)ります」
野上氏によれば、前回2017年の衆院選で野党の足並みが乱れず統一候補を出せていれば、自民が敗北した選挙区は60カ所にも上る。
公明の党勢の陰りも影響しそうだ。前回衆院選での比例区獲得票数は697万票で、現行の選挙制度で初めて700万票を割った。この票には自民からの協力票も含まれることから、公明・学会票は実質500万程度、1選挙区当たり1万7千程度とされているが、野上氏はこう続ける。