菅首相と維新の太いパイプがどう影響するか。
「焦点は自民党の候補者選び。菅首相の維新への配慮で、本人の意に反し降ろされる可能性がある。ただ、自民候補が出馬すれば、大阪が牙城とはいえ維新の獲得議席数も変わってきます」(野上氏)
一方、都構想賛成に転じた公明に刺客が送られるとの情報も飛び交う。
「自民は都構想反対を貫くため、公明が議席を守る大阪の3選挙区に候補者を立てる計画もあるとか。自民と公明が票を食い合えば野党にも勝機がある」(野党関係者)
中国地方は公選法違反の疑いで逮捕、起訴された河井克行元法相の広島3区が焦点。広島は自民党の岸田元外相の牙城でもある。
「岸田派重鎮で昨年の参院選で河井案里氏に敗れた溝手顕正氏が出馬すれば同情票で有利。溝手氏が出ない場合は自民への懲らしめ票が野党に入るかもしれない」(野上氏)
香川1区は自民・平井卓也デジタル担当相と映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」も話題の立憲・小川淳也氏の戦い。前回は約2千票差で、今回も激戦となりそうだ。
「閣僚に勝つのは容易ではない。小川氏には今回も共産票が入るので、比例復活します」(同)
自民・山本有二元農水相が前回惨敗した高知2区は前県知事の尾崎正直氏が出馬を模索。選挙区で議席を奪還できるか。
自民王国の福岡は前回、1区、2区などが野党統一候補なら自民票を上回った。共産が自前の候補を擁立するかが焦点だ。10区は前回、選挙区で自民・山本幸三氏が制したが立憲・城井崇氏、共産・田村貴昭氏も比例復活。今回も三つ巴の戦いだ。
沖縄は基地問題に冷淡な菅首相への反発が強く、オール沖縄と自民の全面対決。1区は野上・角谷両氏とも共産・赤嶺政賢氏が優勢と見る。
はたして国民はどのような審判を下すのか。(本誌・亀井洋志、上田耕司)
※週刊朝日 2020年10月9日号より抜粋