私立大医学部の学費は、他の私立大の学部に比べてもかなり高い。また、新型コロナウイルスによる大学病院の経営悪化で、学費を値上げする動きも出ている。逆に、学費ナシで医師になれる大学や大学校もあるという。
現在発売中の週刊朝日MOOK『医学部に入る2021』では、私立大医学部で「6年間かかる学費」を調査し、国立や公立の医学部の学費とともに一覧にした。学費値上げにより、どんなことが起こるのか、医系専門予備校に話を聞いた。
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私立大医学部で、学費を値上げする動きがあるという。コロナ禍で病院を利用する患者が減り、経営が悪化する病院も相次いでいる。
2020年度の私立大入試では、昭和大が6年間の学費を約500万円値上げしたことで、大きく志願者を減らした。21年から東京女子医科大も6年間総額約1200万円の値上げを予定する。コロナ禍による東京女子医科大学病院の経営悪化などが指摘されてもいる。
学費を変更する場合は文部科学省への届け出が必要となるが、各大学の判断で決められる。しかし私立大医学部は、高額な学費がネックになり受験を躊躇する学生も多く、学費の増減による志願者や難易度への影響が大きい。1200万円の値上げについて、医系専門予備校メディカルラボの本部教務統括・可児良友さんはこう話す。
「学費を値上げすることで、志願者が減少することは避けられないでしょう。また、難易度も下がる可能性が高いです。複数の大学から合格をもらった受験生は、学費の安い大学に進学することも多く、入学を辞退する合格者が例年よりも増えるかもしれません」
■学費を下げた順天堂大は「御三家」に匹敵する難関大に
学費が大幅に下がると、難易度は上がる傾向がある。過去の例を見ると、08年に順天堂大が先鞭をつけ6年間の学費を約900万円値下げして注目された。これにより受験生が増えて偏差値が上昇し、慶應義塾大、東京慈恵会医科大、日本医科大の「御三家」に匹敵する難関大となった。