球数を少なくするためにストライクゾーンで勝負するという言葉を日本でもよく聞くようになった。
ただ、それで大量失点しては、短期決戦では意味がない。たとえ球数を重ねようが、失点しないことが最優先である。
投球中には、二塁に走者が行った際に捕手とサインを入念に確認するようなシーンもあった。あらゆることに備え、走者にサインが盗まれないようにするのもバッテリーの役目。前田は視野広くできていた。
日本でもパ・リーグはロッテとソフトバンクが激しく争っている。直接対決では、おそらく先発が完投するような試合は少なくなるだろう。そういった時に、投手はイライラしないことだ。球数を意識しすぎると、墓穴を掘る。
自然と継投の機会が増えるだろう。監督としても、ここからは一つの決断がチームの勝敗を大きく左右することになる。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2020年10月16日号