東尾修
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ワイルドカードシリーズ初戦に先発したツインズの前田健太(Getty Images)
ワイルドカードシリーズ初戦に先発したツインズの前田健太(Getty Images)

 ロッテソフトバンクが激しく争うパ・リーグ。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、短期決戦で投手が気を付けるべきポイントを解説する。

【写真】ワイルドカードシリーズ初戦に先発したツインズの前田健太

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 大リーグは9月29日(日本時間30日)からポストシーズンが始まった。今年は新型コロナウイルスの影響があって、レギュラーシーズンは60試合にとどまった。その代わり、ポストシーズンはいつもの10チームから16チームに拡大された。全30チームの中の半分以上が進むことになる。

 新型コロナウイルスの感染状況も日本と米国では違うし、収益構造もプロ野球と大リーグでは違う。ただ、米国はレギュラーシーズンを減らしても、ポストシーズンをしっかり行う形をとったのだろう。そちらのほうが真剣勝負という点では、魅力あるシステムだったなと感じる。

 特にセ・リーグは巨人が独走して、優勝は揺るぎないものとなっている。そしてセは今年クライマックスシリーズがない。2位以下のチームの戦いはおのずと消化試合となってしまう。少しでも入場料収益を上げること、そしてシーズンを成立させるために120試合制を維持することが必要だったかもしれないが、少しさびしい気がする。

 話を大リーグに戻すが、ア・リーグのワイルドカードシリーズで、ツインズの前田健太がアストロズとの第1戦に先発した。まず、プレーオフ進出を最後まで争ったならともかく、余裕を持って進出したツインズが前田を第1戦に指名した。今ポストシーズンのエースに指名されたということだ。救援陣が打たれて逆転負けを喫したが、5回を2安打無失点と結果を残した。

 はっきり言って、シーズン中の投球と比べると調子は悪かったのではないかな。シーズンではボールを引っかけたり、抜けたりすることが少なかったが、この一戦では目立った。それでも、無失点で帰ってきたことを評価したい。

 優勝争いの中での直接対決、またはポストシーズンといった短期決戦では相手打線は先発投手を徹底的に研究してくる。そして、負けられない一戦であればあるほど、狙い球なども明確になる。それを投手が上回るには、圧倒的な投球をするか、調子が悪ければ慎重を期すしかない。

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東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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