――コロナ感染者を出した時の風評被害を恐れて、発熱患者の診察に消極的な開業医の先生も少なくないと聞きます。
「第1波の時、発熱患者を熱心に診ていた先生がいる一方で、まったく診ないという先生もいました。患者さんから『熱が出た』と相談された時に、うちは診ない、という開業医は地域医療を放棄しています。私たちは開業する時に近隣にあいさつ状を出しますが、『地域医療に貢献して参ります』という一文を必ず書くのです。お金がもうかるものにはどんどん手を出して、リスクの高いものは診ないというのは、医者として許せない。保険診療というのは、そもそも税金と保険料です。病気ではない人たちが支払っているのです。診療所が狭くて、他の患者さんと道線が分けられないというのなら、少なくとも診てくれる先生を紹介しなさいよ、と言いたい」
――無症状の人がPCR検査をすると、保険適用ではないから2万~4万円もかかります。もっと安くしないと検査は拡充しないのではないですか。
「検査代そのものは1万8千円で、そのうち医師の取り分は2千円です。あとは検査会社に持っていかれるのです。開業医たちは検査判断料などを足してもせいぜい4千~5千円しかもうからないから、そこに手数料として2万円上乗せしているのでしょう。そういう金もうけをやっていいのか、という話です。
ただ検査料は、最初は高めに設定することで、大手の検査会社などの参入を促しているのです。ラボをつくったり、集配システムを構築したり、最初は確かにお金がかかる。それでもペイできると踏んで、各検査会社は参入してきたのです。
今後はエッセンシャルワーカーなどを中心に検査数が増えていけば、単価を安くしても検査会社はもうかるはずです。国が保険点数をどう設定するのか。その判断が焦点になってきますが、5千円から1万円くらいでできるようになるのではないかと思います」
――東京は、7月から8月にかけて感染者数が連日200人を超えました。それが事実上の第2波とすれば、次のシーズンの第3波はどういう状況になると考えていますか。