プロ野球ファンも選手と同じくモチベーションは大切だ。今季のペナントレースを見ていて、喪失感のようなものを抱いたファンは決して少なくないだろう。
ただ、CS否定派が多いことも事実だ。今季もし仮に例年通り開催される予定であったとして、2、3位のチームが、日本シリーズに進出することになれば、現時点で巨人がこれほど大差をつけているのだから、当然相当な批判があるはずだ。
セ・リーグでは、2017年に広島がリーグ優勝をしながらも、3位DeNAにファイナルステージで敗れ、日本シリーズに進出できなかったことも記憶に新しい。広島はレギュラーシーズンでDeNAに14.5ゲーム差をつけていた。
「ファイナルステージのアドバンテージが1勝しかないのは少なすぎる」「勝率5割にも満たないチームが日本シリーズに出場するのはおかしい」など、「廃止論」の意見はもっともだが、首位が独走状態で終わってしまうペナントレースは、あまりにも寂しい気がしてならない。
かつて千葉ロッテマリーンズがリーグ3位から見事日本一に輝いた「プロ野球史上最大の下剋上」も、当時批判はかなり強かったが、プロ野球をシーズン終了まで盛り上げたという意味では、立派な功績だろう。少なくとも、消化試合の雰囲気が漂うよりかは、よっぽど見ごたえがあったのではないか。
元々CSは、消化試合をできる限り減らすことを目的に導入された制度でもある。独走状態となってしまった今季のセ・リーグのような状況こそ、本来の役割が生かされると言っても過言ではない。
皮肉にも、今年1位、2位のみでCSを開催するパ・リーグは、首位ソフトバンクと2位ロッテの優勝争いが注目されていると同時に、3位楽天がロッテにどこまで詰め寄るのかも連日報道されている。はっきり言って、「パ・リーグのほうが面白い」と感じているプロ野球ファンは多いはずだ。
シーズンはまだ途中だが、CSの重要性を改めて考えてもらいたいものだ。(文・AERA dot.編集部・岡本直也)