金持ちの金融所得課税を大幅にまける金融所得分離課税を廃止。企業の不正には欧米並みに数千億円単位の罰金を科し、社長も牢屋に入れる。サービス残業は賃金不払いの犯罪として厳罰に処す。個人情報漏洩にも巨額の賠償金を科す。政治資金規正もデジタル化とキャッシュレス化とマイナンバー紐付けで政治家をどんどん牢屋に送り込む。悪質な法律違反の厳罰化だ。
菅総理の唱える改革は意味不明だが、アドバイザーの顔ぶれを見ると小泉・竹中改革の流れを引き継ぐだけに見える。だが、30年前の「古い改革」だけでは、問題は解決できない。
「改革」の哲学の見直し、「改革の改革」が必要だ。古いタイプの改革が必要な分野もまだあるが、「二つの優しさと一つの厳しさ」という哲学に基づく新しい改革をより重視する必要がある。
実は、改革推進役の河野太郎行革相にこの話を伝えてみた。返事はないが、ぜひとも新しい改革と古い改革の二頭立て馬車で「ハイブリッド・リフォーム」を進めてもらいたい。
※週刊朝日 2020年10月30日号
■古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。主著『日本中枢の崩壊』(講談社文庫)など