―その理由を教えてください。
そもそも「貯蓄型」や「終身型」のような保険商品は“純粋な保険”としての機能と“運用”としての機能が合体しています。保険を“運用”機能で捉えると、株式などの金融商品への投資と比べて利率が低い。そのため資産運用のために入るのはおすすめしません。
―では仮に保険を選ぶときには、どういった保険会社がおすすめですか?
個人的にはネット保険会社をおすすめします。保険会社の構造を意識すると、私は対面式や広告を多く出している保険会社は避けます。その分自分が支払う保険に人件費・広告費がかかっているということですから。当然そういった余分な経費を掛けていない方が、顧客にとっていい保険だと思います
―今後はネット保険がスタンダードになるのでしょうか。
そうとも言い切れないのが面白いところです。どう考えてもネット保険会社は顧客にとって合理的で、出てきたときに保険業界に動揺が走ったくらいですが、飛躍的に加入率が上がったかというとそうではありませんでした。結局、“合理的だから選ぶ”のではなく、納得感や安心感に後押しされて選択しているんだなと思います。そう考えると、「貯蓄型・終身型保険」というのも、とにかく何かして「安心したい」という人たちにとっては合理的な選択なのかもしれません。
(構成・原田加菜)
<プロフィール>
いぬい・まさと/医師・医療コンサルタント。静岡県出身、35歳。洛南中学・高校卒、東京大学医学部医学科卒。外科専門医。研修医時代から医療コンサルタントとして経営・会計分野で多様な実務経験を積み、2016年に法人化。現在、医院経営や各種企業のコンサルティングを行う。