岡田:あるかと思います。ただ、冬に同時流行してしまうと、最初の症状では見分けがつかない。だから病院の外に呼吸器救急外来をつくって、発熱や風邪などの症状の人は、まずはそこでインフルエンザとコロナの検査や血液検査などをして、ほかの患者さんと分ける。また同じコロナの人でも軽症から重症までいますし、重症化の心配のあるハイリスクの方もいます。ですから、薬を渡して自宅療養できる人と、高齢者や、糖尿病や高血圧などの基礎疾患があって優先的に入院してもらう人とか、トリアージができるシステムを早急につくるべきです。
林:新型コロナは弱毒性に変わったという声もありますけど。
岡田:弱毒化した証拠はないですね。第1波のころは検査体制が十分でなくて、ひどくなった人しか検査できなかった、だから出てくる致死率も高かったと思います。今は検査の数も増えて、若い人や軽症者でも検査できるので分母が増えています。また、臨床現場も治療経験を経て、どんな治療をすると有効かという対応の仕方がわかってきて、診療のガイドラインもできました。こんなことが幸いして、重症化や犠牲者を減らせるようになってきたと思っています。
林:なるほど。
岡田:ただ、コロナは人によって怖がり方が違う。若い人が軽い風邪の症状とか無症状で済んでも、60代以上、もしくは70代以上の高齢者では重症化率や致死率が急に高くなる。年齢依存的に重症化や亡くなるリスクが違うのがこの新型コロナの特徴で、高齢化社会の日本では十分に対策をしないといけません。それで私が春から提言してきたことの一つが、アビガンの問題だったんです。
林:新型コロナウイルスに効くかも、と言われている薬ですね。
岡田:冬に、インフルエンザか、コロナか、肺炎球菌か、風邪かという患者さんが増えてきたときに、まず病院の外の診療検査ができる呼吸器外来でトリアージをして、高齢者や基礎疾患を持っている重症化しやすい人に抗ウイルス薬のアビガンを処方することはできないかと。レムデシビルは点滴だから医療が必要なんですが、アビガンは錠剤なので、重症化するかもしれない人に飲んでもらって重症化を阻止して、入院にいたる人を減らしたいと。それで「承認のための審査を早急にしてくれ」と言ったんです。
林:ええ。