「この時期に適切な治療を受けることで、発症を遅らせたり、重症化を防いだりすることができます」(水野医師)
前兆期の症状は軽いことが多く、後から振り返って気づく程度だが、こうした症状がうつ病などほかの精神疾患の前触れになっていることも少なくない。
「統合失調症以外にも若い世代で発症しやすい精神疾患はたくさんあります。生涯5人に1人が精神疾患にかかりますが、アメリカのデータでは75%が24歳までに発症するとされています」(同)
若い人ほど長い将来に向けて早く治療を始めなければならないのに、精神科や精神疾患に対する偏見が強く、なかなか受診につながらない。
「精神の問題もからだの問題と同じように捉え、周囲の人が躊躇なく受診を勧めるような雰囲気や社会を作っていくことが大切です」(同)
(熊谷わこ)
<取材した医師>
京都大学病院精神科神経科教授 村井俊哉医師
東邦大学医療センター大森病院精神神経科教授 水野雅文医師
※週刊朝日 2020年11月13日号