※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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埼玉精神神経センター・埼玉国際頭痛センター長 坂井文彦医師
埼玉精神神経センター・埼玉国際頭痛センター長 坂井文彦医師

 多くの人が悩まされる頭痛。日本では約4000万人の潜在患者がいると言われている。そのなかでも約840万人の患者がいるという片頭痛は、頭痛のなかでも最もつらい症状に見舞われ、医療機関を受診する人の比率が高い。本人にしかわからないつらさを、周囲になかなか理解してもらえずに苦しむ人も多い。そんな片頭痛の現状について、専門医に解説してもらった。

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 片頭痛に悩む患者は、日常生活においてさまざまな支障を抱えながら暮らしている。日本頭痛学会顧問で、埼玉精神神経センターの埼玉国際頭痛センター長である坂井文彦医師は、こう話す。

「1次性頭痛と言われる慢性頭痛は、患者さん本人がどれほどつらいのかが医療者であってもなかなか理解してあげられません。家族や周囲の人、職場の人などはなおさらだと思います。“たかが頭痛”と第三者は思っているかもしれませんが、本人にとっては重大な問題なのです」
 
 片頭痛は、20~40代の女性に多い頭痛だ。ズキンズキンと脈を打つようなひどい痛みが起こる。動けないほどの発作が数時間から数日続き、吐き気や嘔吐などを伴うことも多く、寝込んでしまうほどのつらさに見舞われる。しかし、そのつらさのなかで仕事や家事・育児をおこなう人が多いのも実情だ。遺伝的な側面もあり、10代から悩んでいる人もいる。

「女性ならではの月経、そしてストレス、不規則な睡眠、天候、飲食物などさまざまな要因がきっかけで発症します。薬物による治療は必須ですが、患者さん本人がどういうときに痛みが出るかを知ることもセルフケアの第一歩として重要です」
 
 坂井医師が、自分の症状について知るために、頭痛の患者へ強く勧めているのが、「頭痛ダイアリー」を日常的に書くことだ。

「頭痛の程度を3段階、午前、午後、夜に記入し、頭痛以外の症状も記述して、薬を服用した場合には、どういう薬か、効果はどうだったかということも書きます。頭痛発症時の天候や発作の起きた時の状況、発作によって生活にどのような支障があったかなどについても記述してもらいます」
 

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