「自分で『頑張ってます』なんてあまり言いたくないものですが、コロナ禍にあっては、できる限りの自助努力をさせていただきました。それでも売り上げは落ち込み、その不足を補うために、自分の蓄えを切り崩した」

 夏場までの自粛ムードが徐々にやわらぎ、ようやく10月頃から客足が戻りつつあった。

「金曜日などはひさびさにお店が活気づく時間帯も出てきました。そして『ようやく希望が見えてきた……』と思っていたところに、今回の時短営業の要請。もうどうしていいかわからない、というのが正直な気持ちです」

 とうとう、交流のある飲食店仲間の中から「閉店を決めた」という声がいくつも聞こえ始めた。

「メディアなどで『Go To イート』キャンペーンによる飲食店の盛況ぶりが頻繁にとり上げられましたが、わたくしのお店のような個人経営の小規模店にはほとんど恩恵はありません。3月からかれこれ8カ月以上、ひたすら苦しいというのが大半の飲食店の偽らざる実情。あまりにも長く、厳しすぎるコロナ禍に、みんな刀折れ矢尽きて、心も折れてしまったのです」

 現在、週末に限っていえば、1日10万円以上はあった売り上げが多くて3万円。ゼロの時もあるという。

 もちろん大阪だけでなく、日本中の飲食店関係者が同じような思いでいることだろう。

「皆さんがさまざまな努力をしてきていると思います。しかし、そろそろ限界に来ているようです。そんな飲食店たちがこれから時短営業要請に従い、さらに売り上げを減らしながら忘年会も、新年会もない年末年始を迎えます。わたくし自身も大阪の街並みも、果たしてどうなっていくのだろう。そう思い悩む今日この頃です」       (本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事

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