また世界と日本のコロナ感染への取り組み方の違いにまで質問は及び、ご進講の時間は1時間以上延びることもあった。
「両陛下がマスク姿で熱心にメモを取られている姿が公開されたのは、歴代初めてのことでした」(宮内記者)
雅子さまが久しぶりに単独公務でお姿を見せられたのは、5月11日のことだった。
皇居内の紅葉山御養蚕所で「御養蚕始の儀」に臨まれた。明治以降、歴代の皇后が引き継がれてきた伝統行事を受け継がれたもので、養蚕作業は約2カ月間行われる。
宮内庁の定例会見では、赤坂御所のご自宅にも100匹近くの蚕を飼われていることも発表された。
愛子さまが学習院初等科の3年生の授業の一環で、持ち帰られたことをきっかけに現在まで大切に育てられているという。
蚕は病気などで全滅しないために2グループに分けられて、それぞれに愛子さまはグループ名を付けられて飼育なさっていた。
会見では、後に雅子さまが愛子さまに蚕の作業を引き継がせたいという思いからなのか、という質問も出た。
侍従次長は「愛子さまが育てていらっしゃるのを一人の母親としてサポートなさっている」と語った。
新しい公務への取り組みとしては、オンライン視察を本格的に導入された。11月18日に赤坂御所からリモートで日本赤十字社医療センターを視察。その後、北海道の北見赤十字、福島赤十字、沖縄赤十字の各病院がオンラインで結ばれ、両陛下は現場の医師や看護師らを労った。
陛下は「非常に大変でしたね。皆さまの活動に敬意を表します」と看護師に述べられた。
両陛下とオンラインで対話した看護師は「本当はもっと近くでお聞きになりたいんだろうな」という熱意を画面越しから感じたという。
「両陛下は感染による心のケアについてもご関心があるようで、何度も質問をされていました」(看護師)
日赤の富田博樹副社長も記者にこう語った。
「療養中の知的障害の方のケアのため、医療者たちが入って治療したと話すと、陛下が『どんなご苦労がありましたか』と質問されました。コミュニケーションの難しさから、入居者との間に職員が入ったことで改善したとお話ししたら、非常に感心しておられました」