恐怖を感じた投稿もあった。

<殺す><殺しに行くからな>

 とび職だという男(31)が、小倉さんのフェイスブックアカウントにこうしたメッセージを10回近くにわたりスマホから送ってきた。家族にも危害が及ぶことを心配した小倉さんは警察に相談し、8月に男は脅迫罪で逮捕され懲役6カ月執行猶予3年が言い渡された。また10月には、自身のブログに<今までの流れで親が関与し人身売買、臓器売買が真相だろう>などと書き込んでいた男(69)が名誉毀損の疑いで逮捕された。

 小倉さんは言う。

「どこかで美咲は家に帰りたいと頑張ってくれていると思うのに、そういうことを書かれるのは腹立たしかったです」

■人格侵害件数は増加

 小倉さんは今もインスタやツイッターなどSNSで発信を続ける。逮捕者が出たことなどもあり、最近は誹謗中傷のコメントはかなり減ったというが、ゼロではない。見るたびつらくなり、身内や友人たちからは、コメントを見るのもSNSでの発信もやめるよう何度も言われた。実際、つらくてコメント欄を閉じたこともあった。しかし、小倉さんはやめるわけにはいかないと話す。

「美咲に関する有力な情報があるかもしれません。誹謗中傷されてつらいことより、美咲が戻ってこない方がつらいから私は続けます」

(編集部・野村昌二)

AERA 2020年12月14日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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