最近問題となっている微小粒子状物質(PM2.5)による大気汚染。大気汚染も不安だが、なにより心配なのが汚染された農地で作られた中国の農産物だ。
東京農工大農学部環境資源科学科の伊豆田猛教授(環境植物学)によると、PM2.5の農産物への影響については、世界にも調査データがまだほとんどない。伊豆田氏は自ら行っている植物への影響調査の結果を踏まえて、こう指摘する。
「まずは、飛来しているPM2.5がどのような物質かを調べる必要があります。自動車の排ガスなどに由来するブラックカーボン粒子(すす)のようなものなのか、二酸化硫黄などが大気中で化学反応を起こして生成される硫酸アンモニウム粒子なのかによって植物への影響は違います」
ブラックカーボン粒子が葉につくと、水洗い程度では落ちず、専門家も有機溶剤を使うのだという。
「PM2.5には、発がん性のある有害物質などが含まれる場合があります。中国国内で葉野菜に付着した場合、輸入した日本でも落ちず、消費者の口に入ることになる。大気汚染が問題となっている今、日本も、農産物に対するPM2.5の影響をより詳細に調べる必要があります」。
※週刊朝日 2013年3月8日号