■リアルな人柄と重なる
岸が演じる主人公のユウタと、神宮寺が演じるチャンプのジンは、ライバルであり親友。だがユウタがボクシングをやめてボクシング映画に主演することで、二人の仲に亀裂が走る。演出を務めるのは、去年も演出協力として参加したKinKi Kidsの堂本光一だ。
岸:今までのチャンプ像は、荒々しくてワルの魅力が強い印象でした。でも神宮寺のチャンプはかなりテイストが違って、落ち着きがある。それは光一くんの演出の意向もありますが、やっぱり神宮寺の人柄と重なってできた魅力的なキャラだと思う。リアルな神宮寺と線引きが曖昧で、不思議な気持ちになります。
神宮寺:岸くんは、わからないことをわからないままにしない人。セリフやシーンの意味を徹底的に理解しようとして妥協がない。努力家なので、一緒にやってると僕の向上心も上がるところが魅力ですね。
岸:ありがとう! ただ、お互い様だと思うんですけど、メンバーが台本を持って現場にいること自体にまだ慣れない。何か恥ずかしいんですよ。特に役になりきれてないときはキツイ。
神宮寺:わかる! 本番近くになると全然いけるんだけどね。
岸:そう。今は目が合うと恥ずかしくて。ときどき初々しいヘンな空気感になってます(笑)。
感染対策のため、フライングなどの演出は難しい可能性がある。だが岸も神宮寺もこの制限を、さらなる進化のためのチャンスと捉える。
岸:光一くんと相談しながら、去年以上に体力的にきつい技にも挑戦します。マジでしんどくて、「倒れたらすみません」という感じですね。
神宮寺:すみません、じゃないよ(笑)。確かにあれはしんどいと思うけど。でも、できないパフォーマンスがある一方で、役の心情や人間ドラマの部分を深く掘り下げるので、そこはしっかり魅せたいですね。舞台はドラマのお芝居みたいに自然な演技では伝わらないこともある。僕はまだどう変えたらいいかわからない部分も多いんですが、光一くんが教えてくれるので、本当に勉強になります。
岸:去年は光一くんのアイデアで、見え方がガラッと変わったシーンもあった。僕もたまに役の動きについて意見を出してみるんですけど……全然ダメですね(笑)。日々、育てていただいているのを感じます。