また、多くの掃除機のヘッドには「前回転のローラー回転ブラシ」が付いている。このおかげで掃除機を前に進めるときに軽く動かせると、そのラクさが宣伝文句になっていたりするが、そこにも落とし穴が。
「前回転のブラシを前に動かすとき、カーペットの繊維の上にローラーが乗り、繊維がフタをしてしまうのでゴミやホコリを吸い込みにくくなるんです。一方で後ろに引くときは繊維が『開く』ので取れやすくなる。後ろ歩きをしながら、掃除機は手前に動かす。そこに注意すると、たくさんの汚れを吸ってくれます」
■NG3「専用洗剤ならなんでもいい」
アルコールや漂白剤など、掃除用の薬剤にはさまざまな種類が存在する。「台所用」「トイレ用」などの表示だけで選んでしまいがちだが、より効果的に使うには、その性質を良く知っておくことが大事だ。
まずはウイルス対策の薬剤。インフルエンザや新型コロナウイルスなど、エンベロープ(膜)を持つウイルスには、膜を破壊する作用のある界面活性剤を含む家庭用洗剤や、エタノールなどの消毒用アルコールが有効だ。一方でノロウイルスなどエンベロープを持たないウイルスやカビには、より強力な殺菌作用がある塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム液)が必要となる。
次に汚れ対策の薬剤。ひと口に「洗剤」といっても液性別に大きく分けて「酸性」「弱酸性」「中性」「弱アルカリ性」「アルカリ性」がある。
中性洗剤は手肌にはやさしいが洗浄力は弱いため、日常の掃除用に。水あかや石鹸かす、便器の内側の黄ばんだ尿石汚れなど、水回りのアルカリ性汚れには「酸性」「弱酸性」。油汚れや皮脂汚れなど、酸性の汚れには「アルカリ性」「弱アルカリ性」が有効だ。
掃除の前に汚れの程度をチェックし、ひどい汚れならより効果の高い液性の洗剤を選ぶことが、効率よく掃除するポイントだ。
(編集部・小長光哲郎)
※AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号より抜粋