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 1966年に静岡県で一家4人が殺害された「袴田事件」。死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(84)=釈放中=について、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は、裁判をやり直す「再審」を認めないとした東京高裁決定を取り消し、審理を高裁に差し戻した。長年、袴田さんを支援し無実を訴えてきた元ボクシング世界王者の輪島功一氏(77)は袴田さんの釈放継続は良かったとしつつも、「いつになったら無実と決まるのか。腹が立って腹が立って仕方ない」と、遅い司法の動きに怒りを爆発させた。

 輪島氏は日本プロボクシング協会のメンバーらと、袴田さんの無実を訴え支援を続けてきた。東京高裁が再審開始を認めない決定を下した2018年には、「袴田さんの再収監を許さない」として会見を開くなど、司法や当時の捜査当局への不信感をあらわにしてきた。

 今回の最高裁判断の一報を聞いた輪島氏は開口一番、

「今ははっきりモノを言うと嫌われる時代かもしれないけどね、言うことは言わないといけないんだよ。袴田さんが無実なのは当たり前だ!」

 と叫んで、こう続けた。

「だいたいね、袴田さんが死刑(確定)ってなってから、いったい何十年たっているんだよ。袴田さんをずっと死刑にできないってことが、何よりの無実の証拠じゃないかって、俺は何度も訴えてきたよ。今回だって審理差し戻しとかなんとかいうけどね、じゃあ、あと何年かかるんだよ、5年?10年?。そんなにかかったら袴田さんが死んじゃうかもしれないじゃないか。(裁判所は)袴田さんが死ぬのを待っているとしか思えないよ。腹が立って腹が立って仕方がない」

 袴田さんの死刑が確定したのは、今から40年前の1980年のことだ。捜査当局の「袴田さん犯人視」の根底には、「ボクサー=暴力的」という偏見があったとの指摘もあった。

「ボクシングは最高のスポーツですよ。お互いが一生懸命殴り合って、きっちり黒白を付けるんだからね。それをね、ボクサーだからバカだって、悪いことをやる奴だって、勝手に警察が袴田さんを犯人に仕立て上げたんでしょう」(輪島氏)

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