「日本は東アジアでは新型コロナを最も蔓延(まんえん)させた国です。台湾では海外からの帰国者に外出禁止を義務付け、違反者には多額の罰金などを科しています。日本はそんな厳しい検疫措置をしていないから、また水際作戦に失敗するのでしょう。変異種を流入させてしまえば、爆発的に感染者が増えるかもしれません」
感染者が増えても、大半は無症状だ。無症状感染者は活発に動くので感染を広げることがわかっている。ところが、日本は医療や介護、公共交通機関、小売業などに従事するエッセンシャルワーカーを含め無症状の人には、無料で受けられる行政検査を実施していない。上医師が続ける。
「第4波は必ず来ます。このままでは緊急事態宣言やロックダウンで一気に感染者を減らすしかなくなる。収束している間に、検査で無症状の陽性者を隔離するのが最大の再発防止策ですが、それをしないから、また感染爆発をくり返す。経済的にも二番底、三番底が待っていて、破滅していくパターンです」
今心配なのは、現在開発されているワクチンが効かなくなることだ。
ワクチンはウイルスを攻撃する抗体などを体内の免疫細胞に作らせるためのものだが、変異したものに対応できるのだろうか。宮坂医師が解説する。
「(ウイルスが人の細胞に侵入する際に使う)ウイルス表面の突起状のたんぱく質には9カ所の変異がありますが、免疫系が異物と認識する目印は他にたくさんあるのでワクチンが効かなくなる可能性は極めて低い」
ワクチンの有効性も期待できそうだ。臨床試験で米ファイザーのワクチンの予防効果が95%、英アストラゼネカが平均70%、米モデルナは94%に上った。日本政府は、この3社から計2億9千万回分の供給を受けることで合意している。
懸念されるのは安全性だ。米国で27万人余りに1回目の接種をした時点で、6人に強いアレルギー症状であるアナフィラキシーショックが起きた。
「コロナワクチンが怖いのは、強いアレルギー反応を起こす物質が何か、原因がわからないまま接種を受けなければならないことです」