ベテランには少々酷だなと思う。少々芯やタイミングが外れても、スタンドまで運ぶ野手が増えているのだから、球速が衰え、技術でカバーする投手は苦しい。ベテラン打者はバットコントロールで勝負しようにも、150キロ台後半を投じる投手がいる。パワーと技術が高いレベルで融合しないと通用しないほどレベルは上がっている。
西武の松坂大輔が来シーズンも契約延長した。20年シーズンで一度も実戦で投げていない40歳が、今年になって1軍のマウンドに戻ることは容易ではない。ただ、気持ちが切れそうなところをつなぎとめ、「まだ野球をやりたい」という思いの強さは伝わってくる。契約してくれた球団のために何ができるのかを考えてほしい。プロだから結果が出ないと周囲の目は厳しくなるが、自分のパフォーマンス向上だけを見つめて、一歩一歩進んでもらいたい。
コロナが蔓延(まんえん)する世の中になって、今まで当たり前と思えたことができなくなった。周囲の人々との接触も減っている。そんな中で、野球界は見る人に何を与えることができるのだろうか。2021年。今年も考えさせられる年になる。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2021年1月15日号