今年の1月、緊急事態宣言に入り。読み進めていく。自分が前回やめてしまったところを過ぎて、5巻、10巻を超えていく。そして13巻を過ぎたあたりから、まさかの政治の話になってくる。

 思ってたより難解で、世界史の悲劇を入れ込んだ物語になっていく。巨人が出てくるファンタジーかと思いきや、歴史サスペンスに変わってくる。そして21巻を超えると、ここで物語が急変。ファイナルシーズンに突入していくのだが、もう止まらない。仕事も手につかない。眠れない。

 凄い!凄すぎる!すべてが一話から今後に続く物語の糸が張り巡らされているのだ。これは途中途中思いついたことを伏線回収風に見せている物語ではない。最初から完成図が構築されていく中で、描かれていたのだ。

 読んでいると、ファンタジーであることを忘れて、本当に歴史の物語を読んでいるような気持ちになってくる。

 ただ、難解。だけど、その難解な中身をもっと理解したくて、YouTubeの中田敦彦YouTube大学に入学。「進撃の巨人編」前後編約2時間を見て、整理していく。わからなかったところがつながっていく興奮と快感。あっちゃん、ありがとー!

 この漫画の何がすごいって、ここに出てくる国の歴史を勉強してもっと知りたくなるのだ。振り落とされずにもっと着いていきたいと思ってしまう。いや~、途中で読むのやめた僕を殴ってやりたい。

 ちなみに、この数週間で5人ほどの大人に勧めたのだが、まさに「最初は読んでた」とか「伏線がすごいらしいですね」とか言っている。だけど、そのあと、読んだ人は、僕と同じことを言った。「昔の自分を説教してやりたい」と。

 前回の緊急事態宣言ではドラマ「梨泰院クラス」と「愛の不時着」が大ブームになったが、今回、「進撃の巨人」が「大ヒット漫画」から「超ヒット漫画」になる気がする。

 緊急事態宣言が続き、「これはいつ終わるんだろう」という不安がじっとりまとわりつく中、この「進撃の巨人」は、そんな気持ちをぶった切って、今、なかなか感じえることのできない興奮をくれます!ぜひ!

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。バブル期入社の50代の部長の悲哀を描く16コマ漫画「ティラノ部長」の原作を担当し、毎週金曜に自身のインスタグラムで公開中

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?