新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言下の巣ごもり生活で、シニア世代を中心に認知機能の低下が心配されている。最近はスマートフォンなどのアプリで手軽に予防に取り組めたり診断できたりするので、上手に活用したい。また、予防は40、50代から始めてほしいと専門家は呼びかける。
記者が挑戦したのは、トランプカードを使うアプリだ。四つのテストで、脳の健康度「ブレインパフォーマンス(ブレパ)」が測れる。
【1】裏向きのカードがめくられたかどうか。
【2】めくられたカードの絵柄は赤か黒か。
【3】それまでにめくられたカードで同じものがあったか。
【4】直前のカードと同じか違うか。
ゲーム感覚で回答するとはいえ、点数を意識するので真剣にならざるを得ない。【1】~【4】を何度か繰り返し、所要時間は計約15分。制限時間もあり、けっこう慌ただしい。終わると、【1】~【4】の反応速度、注意力、視覚学習、記憶力の合計得点が出てくる。記者は辛うじて同年代の許容範囲ぎりぎりに滑り込んだ。
このアプリは製薬会社エーザイの「のうKNOW(ノウノウ)」で、IT会社ディー・エヌ・エーの子会社と共同開発したアプリ「Easiit(イージット)」に搭載されている。
イージットは非医療機器だが、歩数、食事、睡眠、体重も記録し、推奨する食事内容や歩数などを週ごとに提示する。監修した東京都健康長寿医療センターの岩田淳脳神経内科部長はこう話す。
「気づきを得て生活を見直すのにいい」
認知症のうちアルツハイマー型は全体の3分の2ほどを占める。岩田さんによると、アルツハイマー型認知症になるリスクの7割程度は遺伝的体質とされ、残りの3割程度は高血圧、高血糖、脂質異常など生活習慣病によるものだという。「血圧が高いと、よりリスクが高くなる」と岩田さんは説明する。遺伝的体質は変えられなくても、アプリを利用して食事を改善したり運動したりすれば、予防につながる。