トぺ(※リングから場外にいる相手に向かってダイブして体当たりをする技)をやったり、自分のオリジナルの技を開発したり、そうやってアピールして、猪木さんや坂口征二さんのようなからだの大きい人がいる新日本プロレスでトップを張ったのはすごいことだよ。

 そのトぺでの思い出といえば、いろいろなところで話しているが、東京ドームで藤波選手と対戦した時、トぺをかわそうとして俺が出したグーパンチが彼の鼻にもろに入ってしまって、大量の鼻血が噴き出してしまったことだね。試合の後、バックヤードで伽織夫人とお会いしたから、すれ違いざまに挨拶したら、夫人にはツンとした顔で無視されたよ。あの時の夫人は怒っていたね……! それから俺はずっと気がかりだったんだけど、2020年2月に猪木さんの食事会で藤波選手とご一緒して、夫人が気にしていないと聞いて、ようやく安心した。当の藤波選手は「天龍にやられたせいで鼻が低くなった。本当はもっとハンサムだったんだ」なんて方々で言ってるからね。もともと、八頭(やつがしら)みたいな鼻だったろうに!(笑)

 冗談はさておき、そんな彼はいまでも現役で、今年でデビュー50周年を迎える。70歳近く(67歳)になってもあの体形をキープしているのがすごいよ。さらに、猪木さんから植え付けられたプロ意識だろうと思うが、あの歳でもサポーター類を一切つけてないのもすごいね。ジャンボ鶴田がニーパットを付け始めたとき「膝を痛めたのか?」と聞いたら、「将来悪くならないために、今から付けているんだよ」だって。いかにもジャンボらしいし、藤波選手とは正反対だ。あの歳で現役で、自分の気持ちを作るのは大変だと思う。俺も晩年は試合前にリングシューズの紐を通している時「いつまでこんなことをしているんだろう」「周りもこのおっさんはいつまでやるんだって思っているんだろうな」という葛藤があった。藤波選手もそういった葛藤と戦っていると思う。息子のLEONAも現役プロレスラーだから、頑張っている姿を息子に示したいという気持ちも強いだろう。だからLEONAがもっと頑張ればいいんだよ! そうしないと安心して引退できないじゃないか!?(笑)

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