「訪問看護ステーションを対象にした協会の調査(19年)では、医師の指示がタイムリーに受けられずに症状が悪化した事例を経験したことがあると回答した割合が、現在の高齢化の状況でも7割を超えています」(井本常任理事)

 協会が理念に掲げている「看護の質の向上」を推進するうえでは、すでに導入している「専門看護師」や「認定看護師」という制度もある。米国型のNPをさらに導入するとなれば、看護の役割拡大につながることになる。その結果として何がもたらされるのだろうか。

「看護師の地位向上を目的に導入するべきだと考えているわけではなく、あくまで国民の保健医療福祉に対するニーズにどう応えるべきかを考えてのことです」

 井本常任理事はこう考えるが、一方で前出の草間会長はこうも指摘する。

「キャリアアップを目指す多様な道があれば、看護師の専門性の強化や地位向上にもつながるはずです。そうした道が示されれば、看護師のプライドやモチベーション、看護師に対する社会の評価もさらに高まるのではないでしょうか」

(編集部・小田健司)

AERA 2021年2月8日号

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