85年以来18年ぶりの優勝を果たした03年には、金本、下柳剛、伊良部秀輝などを補強、20人を超える選手の入れ替えが行われた。星野仙一監督の強烈なリーダーシップのもと、他球団を圧倒してリーグを制覇。2年後の05年にも岡田彰布監督が率いるチームが2位中日に10ゲーム差をつける戦いぶりでリーグ優勝を果たした。

 長期間の低迷を抜け出し、阪神は“常勝チーム”に生まれ変わったかに見えた。しかし、その後はリーグ制覇は一度もなし。宿命のライバルでもある巨人はその間に8度リーグ優勝し、現在は2連覇中だ。阪神ファンからすると悔しい状況が続いている。

「若い人たちの間では、巨人がライバルという意識は薄くなっている。それだけ長きに渡り阪神は優勝から遠ざかっている。巨人は全国区であり土俵が違う感覚があるのかもしれない。しかし阪神が勝てば盛り上がるのは変わらない。現状を一気に覆すのは難しいが、まずは今年、絶対に優勝すること。阪神が勝てば、嘘のように関西の景気は良くなる。テレビの視聴率も信じられないほど取れる。コロナ禍の今だからこそ、阪神が希望の星なんです」(在阪テレビ局関係者)

 関西、そして日本の行方を左右するというのは少し言い過ぎかもしれないが、阪神が強ければ野球界に活気が出るのは間違いない。

「インタビュアーが僕に『日本一おめでとうございます』っていうのを実際にやる、というのがあって。それがすごく臨場感があって、つい最近やったのですが。何回も自分の中で繰り返しやっていくとリアルになってくる。どんどんやっていると、飛行機の中とかでやっていても、何かこうジーンとくるのよ、自分の中で。涙が出るというか」(矢野監督/20年5月17日・サンスポ)

 昨シーズン開幕前、矢野監督は優勝のイメージトレーニングをしていたという。果たして今年はそれが現実となるのか。戦力的には十分それを狙えるだけの条件がそろっている。16年ぶりとなるリーグ制覇を期待したい。