逆境を跳ね返しながら世界最高峰リーグまでたどり着いたゴーリー。世界的パンデミックという未曾有の状況下でも前を見据えるフォワード。乱闘というテーマを通じても伝わって来るのは、日本IH界のさらなるレベルアップ。技術、スピード、強さ、激しさなど、必要なものは多岐にわたる。その中の1つに「乱闘=ファイティングスピリット」も入るのではないかと感じさせる。

「選手、関係者、ファンの誰もが、今まで乱闘に接する機会も少なかった。だから北米とは同じような反応や対応をすぐには取れないと思う。例えば、選手と審判のルール理解に溝や差があり、戸惑うことも多い。ただ、日本のIHは今後、世界のトップ入りを目指している。そういった部分も国際基準にならないと太刀打ちできない」(平野)

 北米では毎晩、乱闘をする選手もいる。どんな形でも良いから、認められ試合に出る、上へ行くという気持ちがある。選手の評価には技術の高さとファイトの両方がある。これは状況次第ではどちらも大きな戦力になるから。乱闘だけではダメだが、チーム、リーグなどが強くなる1つの手段でもある」(福藤)

 乱闘は見た目は激しくとも、決して野蛮なだけのものではない。IHにおいてチームを1つにまとめ、勝利を目指す上で欠かせないプレーだ。選手1人1人の強い思いが詰め込まれている乱闘は、間違いなくIHの魅力である。(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫/1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍、ホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!公式ページ、facebook(Ballpark Time)に取材日記を不定期更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。