1年目は実戦よりも体作り。今年は1軍の中である程度投げさせながら、自分が納得する形を見つけなければいけない。体ができあがる3年目へ向け大事な年となる。
私が松坂大輔を西武の監督として預かった時に「早くから完成したらつまらない」と本人にも話した。そして常に「捕手のミットではなく、バックネットに突き刺す感覚で」と話してきた。それは荒々しさや、生きた直球を投げてほしいと思ったから。若い頃はフォームの細かいことよりも、ダイナミックさを求めた。ただ、今は時代が変わっているかな。特に160キロ以上投げる投手の肩、ひじへの負担は、想定をはるかに超えるもの。繊細な作業となろう。
試行錯誤の年になるだろうが、「生きた球」を投げる感覚だけは身につけてもらいたい。バランスを考えるあまり、すべてを小さくしてほしくはない。何年たっても変わらない「芯」「骨格」となるものを見つけるシーズンにしてもらえたらいいと私は考える。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2021年2月19日号