うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
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2020年の7月から10月、いわゆるコロナ第2波間での子ども(20歳以下)の自殺率を調査したところ、なんと前年より47%もの上昇が確認されました(東京都健康長寿医療センター調べ)。これは看過できない、ただならぬ数値です。
そこで今回は、親ができる子どもの自己肯定感の上げ方と、ポイントについて書いてみたいと思います。
■結果ばかり褒められた子どもは、チャレンジしない子になっていく
まず、自己肯定感を上げるためにとにかく注意しなくてはならないのは、「決して自分の子どもとほかの子どもとを比較して評価してはいけない」ということです。他人を基準にして比べてしまうと、テストがよくできたとか、運動で順位が良かったなど、どうしても「過程」ではなく「結果」ばかりに焦点をあててしまうからです。
がんばった、努力したという行為ではなく、結果ばかりを褒められた子どもは、じょじょにチャレンジしない子になっていきます。「決して失敗しない唯一の方法は挑戦しないこと」という有名な言葉の通り、なにかに挑戦したとき、悪い結果を出して親に失望されるのが怖くなるからです。
そして、何かにチャレンジした結果がダメだったとき、たった一回の結果だけで、「自分はダメな人間だ」と思い込み、自己肯定感は一気に下がってしまいます。
対して、努力したという「行為」を褒められた子は、次々といろんなことに立ち向かい努力している姿を見せて、褒めてもらおうと考えます。そのため、何度失敗しようと、改善点を探して試行錯誤しようとする、強い心が育ちます。
もし誰かと比較して褒めるのならば、「過去の自分」と比べるべきです。どれくらい成長したかについては他人を関与させず、その子自身だけで完結させるやり方をとりましょう。また、漠然と褒めるのではなく、具体的な箇所をあげることもポイントです。人は、自分の長所は自分ではわかりにくいもの。
そこで長所を自覚するため、他人に指摘してもらう「他己分析」というワザがあるくらいです。親が子どもの素晴らしい点を見つけ、認めてあげることにより、子どもは自分では気づけなかった長所に目を向けることもできます。そして、そこを心の軸にして、ぐんと自己肯定感をアップさせられるのです。