野球が好きな方のためにもう一歩踏み込む。右投手が一塁側を踏むことで、右投手が投げるツーシーム、シュートという球種(スライダーとは逆に曲がる)を左打者の内角ボールからストライクに入れることに生かせるという点は理解できる。日本の球では、大きく変化はできないかもしれないが、メジャー球ならば変化は大きくなる。来年以降、大リーグを見据えるならば、自らの技術として手の内に入れておくことは大事である。菅野という投手に楽しみがまた一つ増えた。

 菅野は昨年、先に腕から始動する投球フォームを導入した。トップ中のトップの選手が、毎年のように進化を図ろうとする姿は、チームメートにとっては最高の教材となろう。

 本来ならキャンプで目の当たりにすることで、もっと踏み込んだ話もできるのだろうが、私も2月中旬でのキャンプ視察は見送ることになると思う。無観客で行われているキャンプ。関係者全員が辛抱しながらキャンプを送っている。このみんなの努力が3月26日の開幕につながってくれることを祈る。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2021年2月26日号

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