生田:普段行ったことのないような道を散歩して緑のきれいな公園を見つけたり、こんなところにカフェがあったんだ、今度来てみよう! とか。空いたスケジュールのおかげで思ってもいなかった仕事もできました。黒柳徹子さんに朗読劇に誘っていただいたり、「宮藤官九郎さんがリモートドラマをやるんですが、生田さん空いてませんよね……?」「いやいや、バッチリ空いてます!」とか(笑)。
——俳優の仕事って芝居がうまいとか技術がある、ということよりも自分自身が充実してることが大事だと思うんです。そうでないと、はりぼてのような薄っぺらいものになってしまう。人間的な厚みや深みは、自分が充実しているからこそ醸し出せる。
生田:現場でご一緒させていただく先輩俳優の方々は、どんなに経験を重ねていても「自分はまだこういうことができるんじゃないか」「もっとこうしなければ」と努力をしていらっしゃる。そんな姿を目の当たりにすると「本当に終わりのない道なんだ」と勉強になります。
どんなに追い求めてもまだまだ先があるって、こんなにロマンチックなことはないと思うんです。自分もあきらめずに、俳優の道を追い求めていきたいと思っています。
(フリーランス記者・中村千晶)
※AERA 2021年3月1日号