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週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』より
週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』より

 週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。また、実際の患者を想定し、その患者がたどる治療選択について、専門の医師に取材してどのような基準で判断をしていくのか解説記事を掲載している。ここでは、「心カテーテル治療」の解説を紹介する。

【図解】心カテーテルの選択の流れはこちら

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 加齢や高血圧によって進行する動脈硬化。これが原因で血流が阻害されるとさまざまな疾患を引き起こす。とくに冠動脈は、心臓を動かす筋肉・心筋に血液を送り込む重要な血管だ。ここが狭くなってしまうと、血中の酸素を取り込めず、心筋の運動に支障をきたす。その結果、階段の上り下りなどの運動に心臓が対応できず、動悸や息切れ、激しい痛みなどを引き起こす。これが「労作性狭心症」で、進行すると心筋梗塞に至る。

 多くの場合は、冠動脈のCT検査で発覚する。治療は薬物治療、手術のほか、カテーテルを用いた内科的治療がある。

 カテーテルを用いた治療は、冠動脈のほかにも心臓のさまざまな場面で活躍している。血流をコントロールする弁の動きに異常が起こる弁膜症では、カテーテルで人工弁を設置する「TAVI」がある。また、心臓に血液を送る大動脈が障害される大動脈瘤・解離でも、カテーテルを使用して血管を補強することができる。いずれも手術とくらべてからだへの負担が少ないことが特徴だ。本稿ではとくに、労作性狭心症に対するカテーテル治療・PCIについて解説する。

 治療は、薬物治療、カテーテルによる内科的治療、手術の3種類がある。札幌ハートセンター札幌心臓血管クリニックの藤田勉医師はこう話す。

「どの患者さんもまずは薬物治療をおこないます。それをベースとして、重症の人や、事情があって薬を飲めない人、薬を飲んでも症状が続くという人は、次の治療をおこないます」

 狭心症に対する外科手術は、血管の狭くなった部分(狭窄部)を避けるようにしてバイパス(う回路)用の血管をつなげるため、「冠動脈バイパス手術」と呼ばれる。

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