ですから、日本でよくやる「お母さんには内緒だよ」はNGです。普段はお母さんが禁止している甘いアイスクリームを、お父さんと過ごす週末、あるいはおじいちゃんおばあちゃん家へ行ったときだけ特別に内緒で食べる──みたいなことって、日本ではよくありませんか。私も子どものときは何度も経験しました。でも「お母さんには内緒」を頻繁に行なっていると、「本当はアイスクリームを食べていいはずなのにお母さんだけが理不尽に禁止する」と、子どもが母親に対して不信感を抱く原因になることがあるようなのです。こういう場合は、「確認してみよう」と言って、子どもの目の前でこのときだけはルールの例外があっていいかを親子で確認してからあげるといいそうです。一貫性といっても、少しは柔軟性もなければ親も子も疲れてしまいますもんね。


 
 公園の去り際も同じで、「まあ今日はまだ暖かいから外にいてもいいか」とか「次の予定まで余裕があるしな」と親が思ったら、特別にルールを変更してもいいでしょう。ただ特別なルール変更が成り立つのは、普段からルールがしっかり確立しているときだけです。毎回「じゃ、あともうちょっとね」と一度決めたことを覆していると、「親はいつも口ばかりだ」「駄々をこねればルールを変更できるんだ」などと子どもに覚えさせてしまう──というのがアメリカ式の考え方です。

 まあ「じゃ、あともうちょっとね」が習慣していても日本ではよい子たちがすくすく育っているんだし、そこまで問題じゃないのかな……私自身もそうやって育ったけど、特に重大な精神的欠陥があるわけじゃないし(たぶん)……。ただ、「一度親が決めたことは絶対」を貫くと、子どものぐずりに振り回されることが少なくなるのは間違いないです。子どものわがままにイライラが止まらないというかたは、ぜひルールの一貫性を取り入れてみてはいかがでしょう。

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◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカで6年暮らし、最近、日本に帰国。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi

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