総務省の幹部官僚接待不祥事は次官と同格の歴代総務審議官ら幹部が、次々に処分、更迭、辞職などに追い込まれる異例の展開となった。なぜここまでド派手な接待にエスカレートしたのか。
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東北新社の件では、菅義偉総理の長男の誘いを官僚は断れなかったと解説されたが、NTTにはそんな事情はない。また、山田真貴子前内閣広報官や谷脇康彦前総務審議官以外の幹部官僚も同様に行動しているから、個人の特殊性という説明も難しい。
今回の事件の主役は「官僚」、特に「キャリア官僚」だ。彼らは、国家公務員総合職試験に合格して役人になり、それ以外の官僚、いわゆる「ノンキャリ」の人たちと違って、最初から幹部候補として育成され、速いスピードで出世していく。また、定年前に肩たたきで退職する際には多額の割り増し退職金をもらい、しかも、その後は天下りで70歳くらいまで悠々自適の生活が保障されている。
キャリア官僚にも個々に見ればいろいろなタイプがいる。公務員の鑑である「消防士型」は、私心なく国民のために働き、高額の給与も大きな権力も望まない。国民に感謝されればそれで十分という人たちだ。最近は絶滅危惧種になってしまった。「中央エリート型」の官僚は、自分たちが一番頭が良い、一番偉いと思っている。安月給で夜中まで働いてやっているのにバカな国民とマスコミは何かと自分たちを叩きに来る。こんな仕事を我慢して国のためにやっているのだから、退職後に天下りでぜいたくな生活を保障されるのは当然だと思う。究極の上から目線の連中だ。一方、ただ安定した生活と着実な昇給、そして天下りが保障されていれば贅沢は言わないという「凡人型」のキャリア官僚もいる。
このうち、「派手な接待」に引き寄せられやすいのが「中央エリート型」である。彼らは、必ずしも金目当ての人間ではなく、今回の接待も酒や美食が直接の目的だったのではない。彼らをド派手な接待に導くのは「自分たちは一番偉い」という思い込みだ。「官尊民卑」の意識も強烈。話をするときに相手が接待するのは当然ということになり、接待は派手であるほど、「自分が偉い」と実感できる。相手がNTT社長という大物なら満足感はさらに上がる。その結果、当初は意図していなくても接待企業に借りができ、行政が歪められるのだ。