東大本郷キャンパスの安田講堂 (c)朝日新聞社
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 東大学校推薦型選抜(旧推薦入試)を勝ち抜いた「スーパー高校生」は、どんな人たちなのか。今回は、東大法学部に合格した渋谷教育学園幕張(千葉)の梶谷凜奈さんに話を聞いた。

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■英語ディベートにとことん打ち込む

「根っからの勉強好きでもなければ、成績優秀者でもありません。その代わり、英語ディベート部の活動にはとことん打ち込みました」

 両親の仕事の関係で、幼稚園から小学2年まで米国カリフォルニア州、小学4年から中学入学までを南米チリで過ごした。渋幕中に帰国生入試枠で進学し、高校で英語ディベート部に入った。

 肯定派と否定派に分かれて議論をするので、相手を打ち負かすイメージが強い。だが、こう話す。

「実際に強いのは『対話』の要素。試合に勝つためには相手の話を丁寧に聞き、理解する姿勢が必要です。相手もこちらの主張を丁寧に聞いてくれます。日常ではなかなかできない経験なので、おもしろかったです」

 高校2、3年時、高校ディベート世界選手権(WSDC)に日本代表の一人として出場。3年時にはチーム賞と個人賞を獲得した。東大を志望した一番の理由も、弁論活動を続けたいからだ。

「関係者の間では東大のディベート部は強豪として有名です」

 学部の垣根を越えて授業が履修できる大学環境にも引かれたという。

 音楽・マンガ・小説と趣味の幅は広い。洋書も好きで、取材中に取り出したのが『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』(アンジー・トーマス著)。黒人の友人が警官に射殺され、立ち上がる高校生の様子を描いた米国の小説だ。

「去年、ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切だ)などのSNSデモが盛り上がっていた時期、海外で活発に情報交換が行われている様子を見て、人種差別の問題に関心を持ちました」

 今、国際機関で法整備に携わる仕事に最も興味があるという。(本誌・松岡瑛理)

週刊朝日  2021年3月26日号