そして、その期待にも応えメジャー実質1年目の2012年に11勝(11敗)を挙げると、翌年には17勝(4敗)、防御率3.29とトップクラスの成績を残し、サイ・ヤング賞の投票では9位に。だがその後は伸び悩み、昨季はNPBのソフトバンクに在籍。6勝3敗、防御率2.65と好成績をマークし、今年2月にフィリーズと年俸300万ドル(約3億3000万円)の1年契約を結んでいる。最近では日本で活躍して評価を上げ、すぐにメジャーに戻るケースは多いが、すぐに契約を勝ち取れたのも、ムーアの若手時代から評価があったからだろう。

 ムーア以外で最近を振り返ると、今シーズンからヤクルトでプレーするドミンゴ・サンタナ(外野手、当時アストロズ)が2014年の50位、韓国プロ野球で活躍後に鳴り物入りで阪神入りしたウィリン・ロサリオ(捕手、当時ロッキーズ)が2011年の21位、昨年ヤクルトでプレーしたアルシデス・エスコバー(内野手、当時ロイヤルズ)が2010年の12位、元中日のジョエル・グスマン(内野手、当時ドジャース)が2005年の15位とトップ50に入っている選手も少なくない。

 元々30チームと球団の数が多いことに加えて傘下のチームも多く、ランキングで100位以内に入ること自体決して簡単ではない。そういった状況の中でエスコバー、グスマンは10位台と、かなり上の順位に入るほど将来を嘱望されていた選手であった。グスマンは日米ともに好成績を残すことはできなかったが、エスコバーは2015年にオールスターに選出され、ゴールドグラブ賞も受賞。同年には主力としてロイヤルズのワールドシリーズ制覇に貢献するなど、しっかりと結果も残している。

 そんな中でも、米国で最高クラスの評価をされていたのが、元日本ハムのジェレミー・ハーミッダ(外野手、当時マーリンズ)だ。2002年のドラフトでマーリンズから1巡目指名(全体11位)を受けてプロ入りしたハーミッダは、2006年のランキングではデビルレイズ(現レイズ)のデルモン・ヤングに次ぐ2位と、かなり高い評価を受けていた。

 同年ハーミッダはメジャーデビュー戦の初打席で満塁本塁打を放つと、2007年には打率.296、18本塁打、63点をマークして更なる飛躍も期待されたが、その後は苦しんだ。2015年に入団した日本ハムでも、1年間のプレーで打率.211、1本塁打、18打点と活躍できず、“元プロスペクト”の片鱗を見せることなく、1年で退団となっている。

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大谷翔平も歴代トップクラスの評価