「コロナで受験できない生徒を出さず、無事終えてほっとしています」という声も(c)朝日新聞社
「コロナで受験できない生徒を出さず、無事終えてほっとしています」という声も(c)朝日新聞社

 東京など1都3県に出されていた緊急事態宣言が解除された。受験シーズンと重なった今年1月からの緊急事態宣言は、入試にもさまざまな影響を与えた。新型コロナの対応は生徒や学校だけでなく、塾も苦慮した。

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 受験生を応援するため大勢の塾講師が学校に駆けつける姿は、今や中学入試の風物詩。

 しかし今年は密を避けるため、各塾が自粛。首都圏では子どもたちと握手する姿などはほとんどなく、例年に較べて、少しさみしい受験風景だった。早稲田アカデミーの竹中孝二教務本部長は言う。

「受験生の感染リスクを減らすため、激励会は他塾と足並みをそろえて中止しました。その変わり何かできないかという講師の思いは強く、校舎ごとに応援メッセージを配信したり、前日に講師が電話したりしました。先生が応援してくれたからがんばれた、という生徒も多かったですね」

 受験会場に向かう電車のなかで応援の画像を見て、気持ちを奮い立たせる受験生も多かったという。

 同塾は休校要請が出てからすぐオンライン授業の準備を進め、昨年4月当初のタイミングで双方向授業を開始した。オンライン英語の導入が決まっており、Wi-Fi環境を整備しiPadを2000台購入済みだったことが奏功した。

「とはいえ、オンライン授業は講師にとって初めての経験です。各校舎でいろいろと試行錯誤しました」(竹中教務本部長)

■教室にカメラ持ち込んで

 カメラやホワイトボードの位置、蛍光灯による反射の防止、板書の字の大きさや色などを検討し、映像を見やすくする工夫を全校舎に共有した。さらに話す速度や、通信が途切れることを想定し大事なポイントは2~3回繰り返すなど、細かなところにも気を配ったという。昨年6月からは対面とオンラインを選べるようにしている。

「教室にカメラを持ち込み、同じ内容の授業をライブ配信しています。小6、中3と受験間近の生徒の方が対面比率が高いですね。講師は、対面の生徒に当てたら次はオンラインの生徒と、一体感を持てるように配慮しています」(竹中教務本部長)
 

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授業の活気が戻ってきた