共通テストが「思考力」を重視しているのであれば、CALPの文章がもっとあっても良いのではないでしょうか。また、共通テストには高校までの英語の「到達度」と、大学入学後に必要とされる英語の「熟達度」の二つの側面を測る役割があります。前者に偏りすぎていないか、バランスの検証が必要です。

 付随して、問題の作成方針に示されていた通り「発音、アクセント、語句整序などを単独で問う問題」は出題されませんでした。しかし「言葉に関する知識」を問う問題が不要なわけではありません。発音や語彙、文法の問題をリスニングに組み込むなど、工夫が必要だったのではないでしょうか。

 共通テストの独自の出題には、fact(事実)かopinion(意見)かを判断させる問題がありました。批判的な思考を育むうえで大事で、高く評価できます。一方、リスニングで4人の学生がレシートについて議論しているのを聞き取らせる問題がありました。顔の見えない人たちを声質やアクセントで識別させることが目的だったとは思えません。出題の目的と測定結果の整合性の確認が不可欠です。

■民間試験の導入難しい 

 検討を重ねてきている、共通テストへの英語民間試験の導入については、以前から指摘されている課題の解決は難しく、公平性の面からも導入すべきでないと私は考えます。試験機会の地域格差や経済格差の問題だけでなく、複数の民間試験の共通指標となるCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)も公平性を担保できるものではありません。

 民間試験導入の目的はスピーキングとライティングの測定ですが、「大学入試のあり方に関する検討会議」で実施した大学への調査で、評価方法について最も支持が多かったのは「大学入学後の教育において各大学が独自に評価すべき」(76.6%)でした。スピーキングやライティングの指導は時間がかかります。入試とは別の枠組みで、高校や大学の授業でじっくり育むことが大事です。

(構成/編集部・石田かおる)

AERA 2021年3月29日号より抜粋