16年には、財団法人「日本ライフ協会」が葬儀代などとして集めた数億円を流用するなどして経営破綻し、社会問題化した。
こうした問題が出てきた背景の一つに、超高齢化や核家族化などに伴う身寄りのない高齢者の増加がある。ソーシャルワーカーを十数年務めた、同朋大の林祐介専任講師は指摘する。
「(親族がいても)関係が疎遠だと、かかわりたくないとなっている」
そんな状況に置かれた高齢者が身元保証人を求められたら、事業者を利用せざるを得ない。
病院・施設側はなぜ身元保証人を求めるのか。葬儀など死後の対応のほか、買い物代行や金銭管理、容体急変時の付き添いなどを病院・施設が対応することになると負担が増えるからだ。また、入所者が施設を移る必要がある場合、行き先で身元保証人を求められたら移れなくなるため、結局、入所時に求めることになる。
通達を出している厚生労働省の担当者も、「施設としても身元保証を求めるメリットがある。デメリットを考えると、どうしても求めてしまう」と現状を認識している。
上智大総合人間科学部社会福祉学科の栃本一三郎教授は3年ほど前、全国100前後ある身元保証事業者の中で連絡可能なところをすべて調べた。
「必要なサービスであることは確かです。不安に乗じて金もうけしようと入り込んでいる事業者は少なく、見るに見かねてというのが多かった」
ただ、事業者によって契約内容はバラバラ。認知症患者らが契約内容をきちんと理解できるのかという問題は残る。
判断能力が衰えた高齢者らのために、成年後見制度もある。本人が健康なときに選んでおく任意後見人のほか、関係者の申し立てで家庭裁判所が選任する法定後見人もいる。ただ、神戸六甲わかば司法書士事務所の前田実代表はこう語る。
「問題の解決に適した制度と考えていますが、使い勝手が悪く利用されていません」