韓国の文在寅大統領(C)朝日新聞社
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北朝鮮の金与正氏と金正恩氏(C)朝日新聞社
北朝鮮の金与正氏と金正恩氏(C)朝日新聞社

 4月の補選を控え、支持率の低下に苦しむのは菅義偉首相だけではない。来春の韓国大統領選の前哨戦とされる4月7日のソウル、釜山両市長選の投開票まであと1週間だが、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と与党「共に民主党」の支持率の低下もとまらないのだ。

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 多くの世論調査専門会社の調査で、文大統領の国政支持率が就任後、歴代最低値を記録している。韓国ギャラップ会社の調査では国政支持率が34%で就任後、最も低かった。否定的な評価は59%と就任後、最も高かった。ソウルでは否定的な評価が65%で肯定的な評価の26%より39%も高かった。リアルメーターも国政支持率が34%で同じ数字だ。

 世論調査機関によっては、国政支持率が30%まで下がったところもある。文大統領に対する否定的な評価の最大理由は、不動産政策(34%)だ。文政権で不動産政策は25回以上変更された。

 さらに最近、韓国土地住宅公社の役員や職員、文大統領の側近の国会議員までが業務過程で入手した情報で、新都市開発予定地など不動産に投機した容疑で調査を受けている。

 政権はこの疑惑に対する1次調査を土地住宅公社の上の省庁である国土交通部に調査を任せたが、まともな調査が行われるはずがない。

 そのうえ、文政権は尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検事総長との対立で、目の上のこぶのような検察を最初は捜査から排除した。検察はこのような捜査に最も多くのノウハウを持っている捜査機関であるにも関わらずだ。

 そしてソウル釜山市長選では与党候補が圧倒的にリードされ、国民の怒りが収まらないということを感じたのか、3月29日になって検察に捜査を許可。検察500人、政府合同特別捜査本部の規模を2倍に拡大して1500人と、合わせて2千人以上に捜査人数を増やした。

 だが、韓国民はいわゆる玉ねぎ男「曺国(チョ・グク)事態」のように文政権の身内に対して甘い処罰、生ぬるい対応を見て怒りが爆発する形になっているのだ。

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鉄板だった20代の支持層が離脱する理由