娘「違うわ。日本では建設会社にも『組』を使うの。彼は谷組からドラフト1位でプロ入りしてオリックス。シーズンオフには得意の歌を唄ったり、芸能人とゴルフしたり、クイズに答えたりしているの」


父「……一体何者なんだ? パンチ佐藤……」
娘「とにかくいい人なの! 一度会ってみて! 必ずパパも気に入ると思うから!」
父「そうか、お前がそこまで言うなら、連れてきなさい」
父「なかなかいい男じゃないか。目を剥いて『自分の心は一つです!』という言葉に心打たれたよ」
娘「ありがとう、パパ。私たち幸せになるわ」
母「でもやたらと例え話に出てくる『ロサ・モタ』っていうのは一体なんなのかしら」

 ……恐らくこんなかんじだろう。パンチ夫人は中国の方。お二人は幸せな結婚生活を送られてるみたいです。念のため。私が何が言いたいかというと……頑張れ、愛ちゃん!自分の心は一つです!

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめた最新エッセイ集『まくらが来りて笛を吹く』が、絶賛発売中

週刊朝日  2021年4月9日号

著者プロフィールを見る
春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

春風亭一之輔の記事一覧はこちら