古賀茂明氏
古賀茂明氏
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河野太郎規制改革担当相(c)朝日新聞社
河野太郎規制改革担当相(c)朝日新聞社

 新型コロナウイルス対応の拙さが影響して一時は急落した菅義偉内閣の支持率が下げ止まってきた。盛り上がった「菅降ろし」の話も小康状態だ。

【写真】ポスト菅の大穴は?

 通常国会では、自民党と立憲民主党の国会対策委員長同士の「闇取引」により、補正予算、感染症法と新型コロナ特別措置法の改正案はスピード通過。菅総理長男らによる総務官僚高額接待問題では、菅氏も追及されたが、21年度予算は3月26日に成立。菅内閣の看板政策推進のための「デジタル改革関連法案」も、予算案審議中にもかかわらず、立憲民主の異例の協力で予算成立前に審議入り。順調すぎる進捗だ。

 一方、国民は立憲民主党の戦わない姿勢を見抜いているのか、同党支持率は、昨秋に念願の国民民主党との統合を実現したのに、むしろじり貧の動向が続いている。

 こうした野党のだらしない状況のなせる業だろう。4月「解散風」まで吹いている。コロナのリバウンドが確実で、自治体がワクチン接種に追われる時期なのに。政治家がいかに国民のことを考えていないのかと絶望感に襲われてしまう。

 日本経済は全くよくならず、コロナのワクチン接種も進まないなど、何も良いニュースはないが、新聞には、ポスト菅不在という記事が出ている。

 ならば、政権交代だとなりそうだが、残念ながら、枝野幸男立憲民主党代表が首相になれば日本を変えてくれると期待する人は極めて少数しかいない。世の中には、政治に対するあきらめムードだけが広がっている。

 そんな中、唯一菅氏を超える期待を持てるのは、国民に人気の河野太郎規制改革担当相くらいだろう。政治部記者たちは、河野氏が秋の総裁選に出るのは、意外とハードルが高いと見ている。そもそも、彼が所属する麻生派内でもまだ総裁候補として認められていないくらいだからだ。

 だが、今、河野氏には追い風が吹き始めた。菅総理は、6月のG7サミットまでに温暖化ガス削減の2030年の新たな目標を打ち出さなければならない。おそらくいい加減な菅総理のことだから、思い切った数字を出すのではないかと私は予想しているが、そこでは、電源構成をどうするかが大きな議論のテーマになる。再生可能エネルギー関連の規制緩和は、河野氏の担当。再エネ比率を高めるには、実は電力の抜本改革が不可避だが、これは大手電力会社との大戦争になる。むしろ、抜本改革を避けて、再エネ限界論を唱え、最終的に原発推進に持っていくのが、経済産業省と電力会社の作戦だ。もちろん、菅総理は明らかな原発推進論者である。

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閣外にでる戦略も