永田町では4月25日に投開票が予定される補欠選挙、再選挙の行方が注目を集める。
まもなく衆院北海道2区、参院長野選挙区、参院広島選挙区の3つの選挙区で戦いの火ぶたが切っておとされる。うち北海道2区は元農相、吉川貴盛被告が贈収賄事件で起訴されたため、自民党は不戦敗だ。
「長野、広島で2連敗すると菅政権は一気に転覆しかねないと内心、みんな思っています。4月25日の結果次第で解散が早くなるかもしれません」
自民党の当選2回の若手議員はこう不安な胸中を明かした。
しかし、選挙区情勢を見ると、参院長野選挙区は厳しい。羽田雄一郎元国交相が新型コロナウイルスに感染して急死。それを受けての弔い合戦なので自民党は形勢不利だ。父である羽田孜元首相が築いた強固な地盤が長野全体に広がっており、自民党は小松裕元衆院議員を擁立したものの、歯が立たないというのが現状だ。
「世論調査ではダブルスコアに近い差がついている。羽田氏の弟、次郎候補の支持はすごいものがあり、とても勝ち目はない」(自民党の地方議員)
自民党が最後の望みをかけているのは、参院広島選挙区の再選挙だ。
自民党は元経産省官僚の西田英範氏、立憲民主党や共産党など野党はアナウンサーの宮口治子氏を擁立し、一騎打ちとなる。
だが、元法相の河井克行、案里夫妻が2900万円ものカネを買収目的でばらまき、東京地検特捜部に逮捕され、議員辞職に追い込まれての再選挙だ。
おまけに河井夫妻からカネをもらった広島県内の自民党の地方議員や政界関係者は40人を超える。自民党にとっては超逆風が吹く中での選挙となる。
「広島県連からは名簿だポスターだ、動員とか色々と指示がある。けど、怖くてとても動けません。行く先々で『あんた河井からカネ貰ったんじゃけんのう』と皮肉たっぷりに言われるので困っています」
こう話すのは、河井夫妻からカネを受け取ったことを裁判で認めた広島の県議議員だ。
河井夫妻が逮捕された公職選挙法違反事件は、カネを出して買収した側はもちろん、もらって買収された側も立件されるのが、本来のあるべき姿だ。