プロゴルファー丸山茂樹氏はコーヒー好きが高じて、先月カフェをオープンした。出店しようと決意したコーヒーとの出会いとは?
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何を隠そう、僕は「超」がつくコーヒーフリークなんですよ。飲むとホッとする。飲んだら安らぐ。いいですよね、コーヒーって。
そのコーヒー熱が高じて先月、「Urth Caffe」(アースカフェ)を東京の代官山にオープンさせていただきました! アースカフェは1989年にアメリカで最初にオーガニックコーヒーの会社として設立されました。94年にロサンゼルスに1号店を出店して、現在は米国で5店舗を展開中。米国以外での出店は、僕のお店が初めてになるんです。
2000年にアメリカのツアーに本格的に参戦し始めて、まずは某コーヒーショップにハマったんですね。一日に何度も通ってて、早朝だと開いてませんから、前の夜に氷なしでラテを買っておいて、朝起きて氷を入れて飲んでました。
そんなことをしているときに、アースカフェとの衝撃的な出会いが訪れるんです。僕はかつてビバリーヒルズに住んでたんですが、近所の人が「時代はアースカフェよ」と言うんです。そんなに言うなら、と妻と一緒に行ってみると、「これヤバいよ。めちゃくちゃ美味しい」。深みがあり、コクもあり。オーガニックってここまで違うものなのか、と。ツボにはまりましたね。「アースカフェ・マジック」にかかって、もう朝昼晩、朝昼晩、朝昼晩です。
するといつしか、この味を日本のみなさんにも知ってほしくなったんですね。それで05年にあるビジネスマンの方と知り合いになって、相談をしているうちに、「アースカフェのオーナーに手紙を書いてみよう」ということに。1年に1通だけ。それで4年後でしたね、オーナーに会えることになったのです。
「君のパッションは素晴らしい。ものの考え方が僕に似てるよ。契約しよう」。オーナーは日本での僕の評判も加味して判断されたようで、「あなたは日本で人気がある。スマイルがセールスポイントで、周りを幸せにする。素晴らしいじゃないか」とも。ほんとにうれしかったですね。化学肥料、化学物質を一切使わないアースカフェのオーガニックコーヒーと出会ってから11年、手紙を書き始めてから8年、契約をしてから4年。念願の出店です。
コーヒーはアメリカのものをそのまま提供していますが、紅茶は日本の方の好みに合わせて、少しテイストを濃くしています。フードもすべて僕自身が試食して、「この匂いはいらないだろ」なんて注文を出して改良してきました。
そうやって味に物申せるほど舌が肥えたのは、両親に小さいころからおいしいものを食べさせてもらったからでしょうね。それとゴルフを通じて、中学、高校時代から、ずっと年上の人たちと食事をともにする機会が本当に多かった。一緒にラウンドすると、「これからうまいもんでも食いに行こうか」って話になるじゃないですか。やっぱり味って、いいものをたくさん食べた人間にこそ語れるものだと思います。そのチャンスをたくさん与えていただけた自分は、本当に幸せ者だな、と思いますね。
将来的には、日本で店舗展開をして、多くの人に世界一のコーヒーを味わってもらいたいと思ってます!
※週刊朝日 2013年5月31日号