小学校から中学へ進む頃、当時漫画『テニスの王子様』が人気だったこともあって、「絶対にテニスをやりたい」と、ラケットや練習道具を買ってもらったんです。なのに結局野球部に入ったり、高校に入学したら、ダンス部に進んだり。親としては、「えー!」の連続だったと思うのですが、わがままを聞いてくれて、本当に感謝しています。

 俳優になりたての頃は、アウトローやワルの役がすごく多かったんです。だからこそ、最近はできるだけ幅広い役柄にチャレンジできたらいいな、と思うようになっています。

——昨年放送されたドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」は大きな反響を呼んだ。男性同士のラブストーリーはチャレンジだったのではないか、と尋ねると、真っすぐな答えが返ってきた。

町田:ファンタジー要素もありながら、ラブストーリーであり、コメディーであり……。「挑戦」と言えば挑戦ですし、あれだけ監督と意見を交わして、話し合いながら作品をつくりあげていくのは、そうそうできない、刺激的な経験でした。監督一人がディレクションするわけではなく、一つのチームとして面白いものを丁寧につくろう、という思いを皆で共有できたのは、本当にうれしかったですね。

 僕は役を演じるときは、キャラクターとしてではなく、ひとりの人間としてその人物を探るようにしています。もちろん、技術だけでできる俳優さんもたくさんいらっしゃると思いますが、僕の場合は自分も共感できないと難しいと感じるので。たとえば、ぶっ飛んでいる役なら、なぜそう見えるのか、根底にあるものを理解したい。自分がキャラクターの「この部分は理解できる」「気持ちがわかるな」というところを発見し、発掘していく。その作業はできる限り怠らないようにしたいんです。

 メインのキャラクターなら、多くの場合、物語の中に資料や参考にするものがあって人物像を深く掘っていけますが、それがない時、難しさを感じます。自分なりに多角的に考えて、監督に「こうですか?」と尋ねて、「ちょっと違います」と言われたら、また一からやり直す。物語の中で、小さな役で出させてもらう方が難しいのではないかな、と思うこともあります。

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