まだ経験の浅い村上が思いっきりプレーできるのは、その背後で坂口がどっしりと支えているからだ。チームのコンビネーションだけではなく、坂口自身のプレーも攻守において幅が広がり、安定感も出てきた。ここからさらにステップアップしていくには、フィジカルの強化が課題だと語る。
「世界で勝っていくためには、まだまだ全然足りないとスタッフから言われます。今シーズンはそこを克服するためにフィジカルトレーニングにフォーカスしてきました。見た目も変わってきたと思いますし、砂の上で届かなかったボールにも届くようになりました。あとは後半、しんどいと思っていた場面でも、足が動くようになりました。身体と心がつながった時のパワーは増してきたと感じます。今は早く試合がしたいです!」」
勝負の時は刻々と迫っている。坂口・村上組がてっぺんを目指すのは、5月22日、23日に東京都立川市で開催される「東京2020ビーチバレーボール日本代表チーム決定戦」だ。
「日程が決まった時から緊張しているんです(笑)、いい意味で。自分は、そして他の選手たちはこの日をどうやって迎えるんだろう、と考えるとソワソワします。それは選手たちだけではなく、チーム関係者や応援してくれる方々もきっと同じ気持ちですよね」
そこで勝てば、東京オリンピック出場が内定する。坂口がずっと望んできた、眩しいほどのスポットライトの光が待ち構えている。そんな大舞台を控えた今シーズン、どんなキャッチコピーで呼んでほしいのか、最後に聞いた。
「そうですね。『パワーガール』なんてどうでしょう。『強さ』を表したいので。会場で声をかけてくださった方に『SNSの写真の雰囲気と実物はぜんぜん違うんですね』と言われたことがあります(笑)。確かに私、SNSでは笑って決めているんですけど、会場では試合もあるので笑っていないからかな。きっと『妖精じゃないじゃん』って思われているかもしれません(笑)」
ゴリラのように堂々と逞しく。ビーチの『パワーガール』は、今シーズンもビーチバレー界を盛り上げる。(文・吉田亜衣)
●吉田亜衣/1976年生まれ。埼玉県出身。ビーチバレーボールスタイル編集長、ライター。バレーボール専門誌の編集 (1998年~2007年)を経て、2009年に日本で唯一のビーチバレーボール専門誌「ビーチバレーボールスタイル」を創刊。オリンピック、世界選手権を始め、ビーチバレーボールのトップシーンを取材し続け、国内ではジュニアから一般の現場まで足を運ぶ。2021年4月、ビーチバレーボールスタイルWEBサイトをリニューアルオープン予定。