エッセイスト 小島慶子
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国連の特別報告者が入管法改正案を国際法違反と指摘したことについて、弁護士らは記者会見を開いた (c)朝日新聞社
国連の特別報告者が入管法改正案を国際法違反と指摘したことについて、弁護士らは記者会見を開いた (c)朝日新聞社

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

【写真】記者会見を開く弁護士ら

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 今「入管法改正反対」の署名活動が行われています。私も署名しました。

 政府は2月に出入国管理及び難民認定法の改正案を国会に提出しました。在留資格を失った人が入管施設に長期間収容され、劣悪な環境下で亡くなる人も出ています。こうした状況は国際法違反だと国連に指摘されています。今回の改正案はそれがさらに悪化するような内容なので、弁護士や支援団体が廃案にするべきだと訴えているのです。

「入管法改悪に反対する有志の会」によると、問題点は四つ。1点目は難民認定手続き中の人は送還しないとしている現在のルールを変えて、3回目以降の申請者は手続き中でも送還できるようにすること。国に戻れば殺されるかもしれない人を追い返すことになります。2点目は、退去命令が出ても帰れない人を刑事罰の対象にすること。命の危険があったり、家族が日本にいたりして退去できない人が懲役や罰金を科されるかもしれません。3点目は、難民認定や在留許可の結果が出るまで「監理人」の監督のもとで施設外で暮らす「監理措置」。原則として就労できず健康保険にも入れず、生活を支援者に頼るほかありません。監理措置の対象にならなければ、裁判所の審査なく無期限の収容も可能な施設に収容されることになります。

4点目は、日本の難民認定基準が国際水準からかけ離れていること。日本では申請者のうち難民認定されるのは0.4%(2019年)~1.2%(20年)ほどですが、欧米諸国では25~55%ほど。法務省と入管庁から独立した機関で、専門家が国際難民法にのっとって審査を行えるようにする必要があります。

 この改正案には、最も無力な立場にある人の命を日本がどう扱うのかが表れています。行き場のない人から希望を奪い、見殺しにするような「改正」には反対です。

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中

AERA 2021年4月19日号

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小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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